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24.岳が探すもの side.京極

작가: 桜立風
last update 게시일: 2026-09-30 21:31:23

「……どういうことですか?」

岳が探してるというアクセサリーについて、先に探りを入れようと考えた瞬間、意外なひとことを言った組長に、つい口調が荒くなった。

「……怖いな」

「やかましいです。……で?岳が探しているというネックレスとは、どんなものなんです?」

「どんなものかは知らんが、頼まれたらしいぞ。知り合いに」

「そりゃあそうでしょうね。誰に頼まれたとかどんなアクセサリーなのか、聞いてないんですか?」

知り合いに頼まれたなど百も承知だ。通りすがりの小学生に頼まれて請け負うわけがない。

「とにかく値の張る高価なものだそうだ。それらしいものを身に着けてる人の話を聞いたら教えろとさ」

「は、それだけですか?使えない組長ですねー……」

「俺にそんな口がきけるのは、京極のじいさんを除いて、お前と岳だけだ」

ははっ……と笑う声を聞いて、その場を離れた京極には聞こえなかった。

……じいさんのダイヤは見つかったのか、という組長の問いかけは。

「アルバイトは明日と明後日で終わりになります。……何か、料理のリクエストはありますか?」

「そうだな……グラタンとか!?」

「スイーツがいいな。イチゴと生クリ
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  • 京極社長は善良すぎる女に飼われたい……2つのダイヤが秘密を暴く   24.岳が探すもの side.京極

    「……どういうことですか?」岳が探してるというアクセサリーについて、先に探りを入れようと考えた瞬間、意外なひとことを言った組長に、つい口調が荒くなった。「……怖いな」「やかましいです。……で?岳が探しているというネックレスとは、どんなものなんです?」「どんなものかは知らんが、頼まれたらしいぞ。知り合いに」「そりゃあそうでしょうね。誰に頼まれたとかどんなアクセサリーなのか、聞いてないんですか?」知り合いに頼まれたなど百も承知だ。通りすがりの小学生に頼まれて請け負うわけがない。「とにかく値の張る高価なものだそうだ。それらしいものを身に着けてる人の話を聞いたら教えろとさ」「は、それだけですか?使えない組長ですねー……」「俺にそんな口がきけるのは、京極のじいさんを除いて、お前と岳だけだ」ははっ……と笑う声を聞いて、その場を離れた京極には聞こえなかった。……じいさんのダイヤは見つかったのか、という組長の問いかけは。「アルバイトは明日と明後日で終わりになります。……何か、料理のリクエストはありますか?」「そうだな……グラタンとか!?」「スイーツがいいな。イチゴと生クリームのショートケーキ!」キッチンへ戻ると、料理が一段落したらしい凪が黒いスーツの強面に囲まれていた。和やかにお茶を飲む風景は、京極が初めて見る黒石一家のひとコマ。……呆れて笑ってやる。「わかりました!明日はグラタンで、明後日はケーキを作りますね!」ポン……と手を打つ凪と、拍手をする輩。腕組みをして後方に控えていた京極は、ため息をつきつつ、凪に近寄っていく。「……食わせてやるものが決まったところで、帰るぞ、凪」「あ……」凪は視線を岳に向けた。……なんでだ?「悪いな。約束の時間までもう少しあるから、料理のレシピとコツを教えてもらうことになってる」「お前が教えてもらってどうするんだよ?!この後正式に家政婦を雇うんじゃないのか?」凪に延長を打診される前に、すでに良さそうな人材を紹介してある。……今回は、やや黒い仕事も請け負う黒石一家の話は伝えてあり、面接は形式的なものになるはずだった。「そうだけどな、まぁ、料理は俺の趣味だから」なぜかすまし顔で凪と目を合わせる岳に本格的に腹を立てた京極は、大切なことを思い出させようと凪の前に立つ。「……つまみっ子祭り、日にちが迫ってる

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    ……しまったな。あいつにネックレスのことを話す必要はなかった。つまみっ子倶楽部の前まで来て、京極はチラリと真壁を残してきた場所に目をやった。「ありがとうございました。……あの、とりあえず今日は京極社長のお宅へ戻りますので」「あぁ。今夜は黒石興業へも行くな。ここの仕事が終わったらそのまま……」「そういうわけにはいきませんよ。今日は行きます」ネックレスを探しているらしいとわかった以上、1人で行かせるのは気がかりだったが……タイミング悪く、内ポケットにしまった携帯が鳴り出した。秘書の山田からだということは、今日から工事が始まる開発予定地で、何かあったか……凪の目を見ながら着信をつなげようとした京極に、彼女は頭を下げて中に入ってしまった。……扉が開いた拍子に、妙な踊りの音楽が、にぎやかに凪を迎えたとわかる。「……なんだ。今戻るが」「すいません社長、お楽しみのところ……」「は?お楽しみの使い方が間違ってるぞ」が、実のところ、京極の視線は扉の窓からわずかに見える凪の姿に釘付けになっていた。なぜあんな踊りを楽しそうに踊っているのか理解できないはずなのに、口元が緩む……「開発予定地の工事が始まったのですが、今連絡が来て、警察と役所がストップをかけているそうです」「……なんで?あの土地は合法的に手に入れた問題のない土地だが?」「それが、人骨が出てきたらしいのです」「……なんだそれは。ミステリーの始まりってか」京極は携帯を耳に当てながら歩き出す。……その姿を、窓越しに凪の視線が追っていた。午前中は秘書に連絡をもらった件で関係各所を回り、社長室に戻ったのは昼時を大きく過ぎてからになった。「お疲れさまでございました……ランチに、と思いまして、ケータリングをしておきました」山田が差し出した弁当らしき小箱から、苦手な刺激臭がする。「山田、俺は辛いものが苦手だと、もう何回も言ってるよな?」「……は、そうでしたか?」「覚える気ないだろ……」自分で食べるよう突っ返し、京極は出口に向かう。「次の予定は夕方だよな。……ちょっと外へ出る」エレベーターでエントランスへ降りながら、携帯を取り出してつないだ先は黒石岳だ。「……岳か。凪は来てるか?」『もちろん。全力で料理中だが……なんか用か、忙しいんだけどな』携帯の向こうから、水の音や火を使う音が聞こ

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    「ダメだ」 あまりにも早い即答に言葉を失った。 凪に続いて降りてくる京極。……いったいどうしたというのか。 「聞こえたか?ダメだと言ったんだ」 「……でも、もう狙われる理由はありませんよね」 「そういう問題じゃない」 運転席の山田に目配せをして、凪の背中を押しながら歩き出す京極。 つまみっ子倶楽部まで送り届けようとしているらしい。 ……なんだろ、過保護か? 「君は気にならないのか?なぜ……あのネックレスをお母さんが持っていたのか」 「それはもちろん、気になりますけど、京極社長の家に寝泊まりしなくても調べられますし」 「……問題はネックレスだけじゃない」 京極を見上げていて気づかなかった。前を見る彼の視線の先に、父が結婚を押し付けた……真壁雅人がいることに。 「……朝帰りか?呆れたな」 腕組みをして立ち塞がる真壁は嫌味な笑みを浮かべて首をかしげる。 「別に、関係ないと思いますけど」 「そうだ。彼女は今……俺の家から仕事に通っているものでな」 京極の言葉に、真壁の目が光った気がした。 「そう。それなら今日来て良かったな。本当はつまみっ子祭りの協賛に参加してやろうと思って来たんだけど……先に伝えておこうか」 嫌な予感がした。まさか父の会社との話に何か進展があったというのでは…… 「君のお父さんの会社ーー白石物産と真壁コーポレーションは、正式に業務提携することになった。うちからの資金が……お父さんの会社をいろいろと助けることになるよ?」 予想は当たった。余裕の笑みを浮かべ、京極の隣にいる凪に手を伸ばす真壁。 「こっちにおいで……凪」 「私の気持ちは変わりません。それから、今夜もう一度……父と話します」 「そう?……残念だなぁ」 凪には、真壁が考えていることが予想できた。父の会社と提携してしまえば、きっと自分を犠牲にして結婚に応じると。 「悪いけど、俺も離しませんよ?」 涼しい顔で話に入ってくる京極。さっきからチラチラと視線を向けて、真壁が彼を気にしていることは伝わっている。 ……それにしても離さないとは、京極は何を言おうとしているのか。 「この前から思ってたけど、あなた、いったい何者?僕たちの話に入ってくるのやめて欲しいんだけど……」 「……そういえばまだ名乗ってなかったな」 内ポケットから革の名刺入れを取

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    ……ハッと目が覚めるとそこには、熊のぬいぐるみがあった。「……ん?なんで、」ぬいぐるみ系はすべて部屋に置いてきたはずだ。理由はもちろん、京極にバカにされるから。凪は広いベッドに横たわっていた。寝ぼけた頭で、「一緒に寝よう」と京極に誘われたことを思い出す。……変な意味に取るのは照れくさくて、はい、と素直にベッドに入った。誰かと一緒に眠るのは久しぶりで、そのあたたかなぬくもりに安心して、意外なほどすぐに寝てしまったと思う。「隣に熊ちゃんがいるということは、先に起きてるんだな」当然だが、京極も普通に眠ったのだろう。変に意識しなくて良かった……階下に降りてみると、案の定京極がコーヒーを片手にタブレットを操っていた。「おはようございます」声をかけた瞬間、口をつけたコーヒーを吹き出しそうになった。……どうしたのだろう。……京極らしくない。「おはよう。ほら、そこに作っておいたから……食べなさい」指さす方に目をやって……驚いた。「これ……料理ですか?」「あっ?!どう見ても料理だろ。モーニングプレートってやつだ」お皿の上にレタスとトマト、きゅうりを切ったサラダと、スクランブルエッグ的なそぼろ卵、そしてなんと、ラップに包まれたキャンディチーズのような小さなおにぎりがいくつも乗っている。「可愛い……これも京極社長が?」「他にいないだろ?」「消去法じゃなくて、ちゃんと言ってくださいよ!」ひとくちサイズのラップおにぎりを手のひらに乗せて笑う凪に、京極は困ったような顔になる。……それが照れているように見えて、凪は遠慮なく笑った。「俺が作りました。……昨日、落ち込んでたみたいだから、少しは笑ってくれたらいいと思ってな」「……は?」急にカッコいいことを言うのはやめて欲しい……「それじゃ、いただきます。まずはいちばん可愛いミニミニおにぎりから……!」ラップを外し、凪はポン、と口の中に放り込んだ。モグモグと口を動かす様子をタブレットから視線を上げた京極が真剣な表情で見つめる。おにぎりには具が入っておらず、塩味も何もしない……「美味しいです!……さすが、いいお米使ってますね?!」「米の味を褒めるってか?……喧嘩売ってるだろ?」「まさか!……ちゃんと愛情をいただいてますよ?」ちぎり忘れたレタスにも、分厚く切られたきゅうりにも、ポロポロのスクランブ

  • 京極社長は善良すぎる女に飼われたい……2つのダイヤが秘密を暴く   20.今夜は一緒に寝よう

    鑑定士の言葉は凪に大きな衝撃を与えた。「まさか、当時の家政婦の中に君の母親がいたなんてな」「父とはずっと不仲で、私を産んですぐに仕事を探したというのは聞いたことあります。保育園が見つかって働き始めたって……まさかそれが、京極さんのご実家だなんて」「運命……?」小山内鑑定士の自宅から帰る車の中。凪は聞いた話を思い出してどうしても下を向いてしまう。そんな彼女に京極はめずらしく気遣う素振りを見せた。「……はぁ」「おい。運命かって聞いてるのにため息つくか?」「すみません……」またしても下を向く凪。ポン……と、大きな手が頭に乗った。何か言えばいいのに、京極は何も言わずにただ頭を撫でる。凪はそのぬくもりに癒されながら、不器用な京極の優しさが妙に心に沁みた。「俺はこれから出社するが……大丈夫か」「大丈夫です。……あの、」京極邸に到着し、車を停めて問いかける京極を見上げる凪。「ネックレス、本当に京極家に関係するものだったんですね。……いろいろ失礼なことを言ってすみませんでした」「いや、逆に俺は……正直に言うと、子供の頃君の母親と接点があったことを知って嬉しく思ってる」「それは……」京極はまっすぐ見つめる凪の瞳から逃れるように車から降り、それを見た凪も助手席のドアを開けた。「ほら、そういうとこ」降り立った凪は、振り返って助手席のシートをさっと手で払ったところだった。「ものに対しても人に対しても丁寧で誠実な気がする。……料理もうまくて生活もちゃんとしてて、君は母親に大事に育てられたんだと思うよ」「そんな……初めは私、結構暴言吐きましたよ」「媚びないところも魅力だ」その後は目を合わせず、京極は凪を家に置いて出社していった。京極の意外な褒め言葉に落ち着かなくなった凪は、京極邸を出て最寄り駅まで歩いてみることにした。すっかり秋の気配をまとった街並みは散歩にちょうどいい。スーパーマーケットを見つけ、ついでに夕飯の買い物をすることにしたのは『料理がうまい』なんて言われてしまったからだ。「あれ、凪ちゃんじゃない?」そこで意外な人に出会ってしまった……「あ、副社長……」「今日は急用でバイトは休みだって京極に聞いたけど」「はい……そうなんですよ、それがわりと早く終わってしまって、それで……」思いきりズル休みが見つかった気分になり、しどろもど

  • 京極社長は善良すぎる女に飼われたい……2つのダイヤが秘密を暴く   19.京極家のダイヤ

    「私は小山内と言います」 「はじめまして……汐沢凪と申します。今日は、よろしくお願いします」 鑑定士は凪の顔も見ずに名乗り、年季の入った鑑定用のルーペを右目につけ、ネックレスのダイヤと指輪のダイヤを交互に光に当てた。 ……それにしても、どういうことだろう。母の形見に、京極家のダイヤが使われていたなんて。 「李仁、お前もやっと前に進めたのか」 「は?」 「離婚して何年たった?……嫁さんとはずいぶん雰囲気が違うが、お前にはこういう人のほうが合ってるんじゃないのか」 京極が何か言おうと口を開きかけると、開いたままのドアが廊下側からノックされ、男性が入ってきた。 「じいちゃん、そのくらいにしておきなよ」 「……なにが」 「李仁くんは1人に決めない主義みたいだからさ」 京極と同じくらいの年齢の男性は、鑑定士の孫のようだ。ややトゲのあることを言っておいて平然と笑っているということは、かなり親しい間柄なのだろうか。 「あのさ……裕貴くん?」 「この前店に連れてきた女の子へのプレゼント、指輪のサイズ直したけど」 「あーー……」 チラリと凪の方へ目をやる京極。裕貴と呼んだ男性を廊下に連れて行こうとしたところで、鑑定士がつぶやいた。 「間違いない、これは京極家に代々伝わる希少性の高いダイヤモンドだ」 「……ほんとに?!ついに戻ったんだ?京極家のダイヤ!」 京極より先に反応したのは孫の裕貴。京極は少し複雑な表情になった。 「李仁くん!なんで喜ばないの?……離婚したのに奥さんに返してくれって言えなかったんでしょ?巡り巡って戻ってきて良かったじゃん!」 母の形見の謎が確定したこと、そして少しだけ京極の背景を知って、凪も同じように複雑な気持ちになった。 「それから……このダイヤには、加工された形跡があるな」 鑑定士はまだルーペを外さずにネックレスのダイヤをあらゆる角度から観察している。 「ネックレスと指輪に加工した時の跡じゃないの?それ、じいちゃんが自分でやったんだろ?」 「違う。私が加工した跡じゃない。あの時はアクセサリーへの加工を頼まれただけだ。石そのものをここまで細かく鑑定していない」 「……どういうこと?」 「私がアクセサリーに加工したものとは別に、石そのものに細工がされている」

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